月刊ブレーン2012年3月号

映像と音声の組み合わせで見せる「映像」は、人の心を揺さぶるツールとしてはいまだ最強。時間をかけてストーリーを語ることで、人の感情とメッセージをシンクロさせ、共感を呼び、感動を巻き起こす。その感動が、人に伝えたい気持ちを呼びおこし、口コミを通じてさらに人と人を結びつけていく。

昨年は震災をきっかけにACの「ポポポポーン」のCMがブレイクしたり、九州新幹線のCMがネット上で静かに広がっていったり。テレビCMが人と人とをつなぐコミュニケーションツールとしての力を発揮した。また、テレビ番組でも「家政婦のミタ」の視聴率が40%を超すなど、映像コンテンツのパワーを再認識する1年になったのではないだろうか。

テレビ、動画サイト、モバイル、街中のサイネージなど、映像を流すメディアは増加する一方だが、いま、本当に面白い映像はどこから生まれようとしているのか。そして、映像制作の第一線で活躍しているクリエイターは何を作ろうとしているのか。彼らが見据える、その先を聞いた。

この特集の目次

• 菱川勢一(Drawing and Manual)
• 大根仁
• 山内健司
• 吉浦康裕
• 東京藝術大学 MediaPractice11-12
• 伊東玄己
• 橋本俊行(aircord)
• 柿本ケンサク
• 針谷建二郎(ANSWR)
• 福里真一(ワンスカイ)
• 田中嗣久
• 松村祐治(電通)
• The day of ACC 2011

思いもよらないドキュメントで驚かせたり、笑わせたり。
人間味あふれるストーリーに、
愛おしさを感じさせたり、目を潤ませたり――。
関心のない人を振り向かせ、ブランドの質や志を伝えるコマーシャルフィルム。
視聴者を夢中にさせ、メッセージを伝える。
2つの理想を同時に叶えた、世界のクリエイターたちの仕事を紹介する。

この特集の目次

• Volkswagen
• Canal+
• BMW Canada
• Audi Spain
• UNIT9
• HONDA UK「Off the Grid」
• クリエイターが愛するテレビCM

広告をはじめとする企業のコミュニケーション表現には必ず"目的"がある。商品の購買意欲をかきたてたい、商品名を覚えてもらいたい、ブランドに良いイメージを持ってもらいたい...。企業の目的・目標を達成するために、熟練したクリエイターたちは、経験を積み重ねてたどりついた"心を動かす"ためのテクニックで表現している。

いまその領域に、ニューロマーケティングなど脳科学や心理学を応用したアプローチが注目されはじめている。例えば、広告で使う色や音のチョイスやレイアウトといった表現面で。あるいは消費者調査の設計や結果の解釈について。

科学研究の視点を応用すれば、レストランのメニューのデザインからCMの演出、店舗の音響ディレクションまで、クリエイティブの幅は大きく広げることができるだろう。表現を科学的に解き明かし、新しい知見をもたらす科学の領域はどこまで進化しているか。また、広告に関わる表現者たちは、こうした科学の進化とどう向き合っていけばいいか。

第150回を迎える今回の青山デザイン会議は、このテーマで脳研究者の池谷裕二さん、クリエイティブディレクターの小霜和也さん、音環境コンサルタントの齋藤寛さんが話し合う。

• 池谷裕二(脳研究者/東京大学准教授)
• 小霜和也(コピーライター/クリエイティブディレクター)
• 齋藤寛(音環境コンサルタント)