専門コースを10期実施し、TCC新人賞をはじめとして各方面で活躍する終了生を多く輩出した「コピーライター養成講座 山本高史クラス」が今期、グレードアップして復活します。今回、相方には佐倉康彦氏を迎え、2名体制で講座を開講。ことばとコピーについて徹底的に考える濃密な6日間です。特に、今回は、アウトプットとしてのコピー表現ではなく、機能するコピーを生み出すためにはどういったインプットが必要になるのかを時間をかけて考えます。自分の経験、体験、思考をどのように料理することが、コピーを生むことに繋がるのか。山本氏と佐倉氏の思考を追い、応用できるような講義を行います。
山本 高史氏
株式会社コトバ
クリエーティブディレクター
コピーライター
関西大学社会学部教授
コピーを想うみなさんへ
「消しゴムについて3分間しゃべってみ」というと、指された学生は目を丸くして(ほー、こういうのを絶句というのだな、と思うくらい)絶句する。そりゃそうだ。「消しゴム」なんて考えたこともない。そして「えーと、白くて、四角くて、消して・・・」とが話し始めるが、3分は意外なくらい絶望的に長い。そして時間内に答えられなかったクイズの解答者のような表情で、やっと解放される。
大学でそんな講義をやっている(別にサディスティックな趣味はないですよ)。目的は「考えるクセ」をつけることにある。
書くことは考えること。
「よく書く」ことには「よく考える」ことが伴わなければならないはずなのに、コピーを書きたい人ほど、考える質と量もそこそこに表現を急いでしまう。コピーを書こうとするときに、そのテーマとなる商品やサービスのことだけ考えてもロクな言葉は出てこない(仮にそれをストレートに伝えなければならない時でも)。
「消しゴム」だって同じだ。それだけをどれだけ見つめていても数言で尽きてしまう。でも(消すことで間違いを直すのだ。ただ直すだけ。正解は教えてくれない。そういう人間いるよな)とでも考えをつなげてみれば、また違うストーリーの端っこに到達するかもしれない。
「考える」ことから始めましょう。それがぼくからの提案です。
考えることは、どこでもできる、誰でもできる、しかもタダだしね。
佐倉とは好きなアウトプットは似ているが、そこへのアプローチがたぶん違う。その違いを楽しみ、できればいいとこ取りをしてもらえたらな、とも思います。
佐倉 康彦氏
ナカハタ
クリエイティブディレクター
言葉だけじゃ伝えられないこと。
言葉がないとないと伝えられないこと。
ああ、わたしの脳味噌は、もう痒くなってきました。
誰もがオギャーと生まれてからこっち、
ずっと世間との、誰かとの、あるいは何かとの
関係性や距離感をつかむためのツールとして使ってきた
その言葉だからこそ「コピー」と称されるものはややこしいのです。
ほら、今もあなたは、
あなたの掌のなかにあるスマホのディスプレイを見つめ、
ニュースを眺め、ゴシップをピックして、漫画の吹き出しを目で追ってる。
同時にSNSで、友だちの、他人の、有名人の
なにがしかの発言、言葉をチェックし、
自分の思いや意見をどんな言葉で切り取り、吐露すべきが考えている。
言葉というひとつのツールの使い手として誰もが24時間、
これほど考えまくってる時代なんてこれまでなかったです。
コピーライティングのスキルを磨いたり身に付けるための講義というより、
パワポやワード、キーノートやらペイジズを
立ち上げてキーボードに向かう前の、
書くまでの態度、在りようの話になるかもしれません。
答えはある、のでしょうか。
さあ、こじれてもつれた講義のはじまりです。