社内広報の重要性があらためて見直されています。背景には、終身雇用・年功序列制度の見直し、転職者数の増加、成果主義の導入、雇用・就労形態の多様化や外国人社員の増加といった職場環境の変化の中で、企業理念を個々の社員に浸透させ、社員のベクトルを同じ方向に向けて力を結集させることが容易ではなくなっている点が挙げられます。
その解決策の一つとして注目されているのが社内広報です。
では、どうすれば社内広報を効果的に運用し、社員・組織の力を最大化することができるのでしょうか?この「社内広報養成講座」では、企業や自治体、各種団体の総務部門や広報部門、社長室などに在籍して社内広報を担当している方を対象に、社内コミュニケーションを活性化させる方法を基礎からわかりやすく解説します。
アベノミクスにより、景況感は上向いておりますが、まだ実体経済には反映されておりません。業績への反映も、まだこれからという企業が多いのが現状です。そのような中、企業のインナー広報に対する意識が高まってきています。背景には業績悪化に伴うリストラなど、終身雇用の構造が崩れ、組織の多様化が進んでいることがあります。社員の組織への帰属意識が低下しており、優秀な人材の流出を避けるなど、企業にとってインナー広報は組織の基盤を支える、大きな経営課題となっているのです。
しかし、弊誌・『広報会議』で行ったアンケートでも、「社内報が読まれない」、「情報が集まりにくい」、「トップのメッセージが伝わりにくい」など重要視されている割に、課題が多いのがインナー広報の特徴です。それには、インナー広報の業務が社内事情に関わることが多く、外部に相談しづらく、社内においても相談する相手が少ないという理由があります。そこで宣伝会議では、インナー広報のあるべき姿を学び、他社の事例を通じて自社のインナーコミュニケーションへのヒントを得る「インナー広報実践講座」を開催いたします。
社内広報はなぜ重要なのでしょうか?まず社内広報の役割から説明します。
社内広報の役割
会社はさまざまな個性の社員たちで構成されています。社内には部署や課などいろいろな組織に分けられており、その組織の中に社員たちが配属されています。
会社の規模が大きくなり、組織が多重化・多層化していくと、理念や目的・目標が個々の社員に浸透しにくくなります。また、組織ごとのセクト主義が表面化して、足並みがそろいにくくなることもあります。その結果、コーポレートアイデンティティ(企業理念)が不明確になり、ブランド力が落ちたり、大きなプロジェクトを組織横断的に実行しようとしたときにうまくいかず、生産性や効率性が低下するという事態が起こり得ます。
社内広報は、上手く活用することで、こうした課題を解決する役割を担います。さらに、個々の社員がもともと持っている能力以上の力を発揮させ、組織の力を最大化することも可能です。
一方、運用方法を誤ると、社内情報を流すことだけが目的になってしまい、十分な機能を果たせません。せっかく費用をかけて社内広報を作っても、読まれずに放置されるか、読まれたとしても社員のモチベーションを高められず、社内活性化に役立てることができないまま終わってしまうでしょう。
社内広報のメリット
社内広報が活発に行われることで、経営幹部と社員との意思の疎通が良くなり、会社の経営理念・ビジョン、目的・目標などが社内によく浸透するようになります。
意思の伝達はトップダウンに限りません。社員の意見も経営幹部によく通るようになります。例えば、現場で起きている問題や制度の課題などを生の声として社内広報に載せることで、経営幹部の受け止め方も変わってくるでしょう。
また、目的・目標に対する社内の認識が一つのベクトルにそろうことで、組織横断的なプロジェクトが進みやすくなります。社員が一丸となって明確な目標に向かうことで、自社ブランドへの愛着が強まり、社外へのブランディングを強力に推進することもできます。
社内広報には、功績を上げた社員や部署の業務内容を紹介したり表彰する企画が付きものです。こうした企画をさまざまな形で取り上げることで、他の社員のモチベーション向上を図ることができ、商品やサービスだけでなく、社内業務の改善に関する新しいアイデアが生まれやすくなります。
この「社内広報養成講座」は、企業や官公庁、各種団体などの広報部門、総務部門、人事部門、経営企画部門、社長室などに在籍し、社内広報を担当している方に最適です。本講座を通して、以下に挙げる課題に対する実践的な回答やヒントを得られるでしょう。
社内広報のコツ・基礎を学びたい社内広報の基本的な進め方や心構え、経営理念を浸透させるノウハウ、社内行事の周知の方法など、すぐにプロジェクトとして運用できる基礎知識や運用のコツを習得できます。
他社の事例を参考にしたい普段は知ることのできない他社の事例を学び、自社の事例と比較しながら、自社の長所や改善点などを発見することができます。社内のメンバーだけでは思いつかないような、社内広報の運用ポイントが見つかるかもしれません。
効果的な社内広報のアイデアが浮かばない演習を通して、社内広報戦略の立案から実行に至るまでを具体的なノウハウに落とし込む手法を学ぶことができます。基本をしっかり理解してから演習を行いますので、これまで見えなかった社内広報の課題に気づくきっかけになるでしょう。
時間 | 講義内容 |
10:00~12:00 |
インナー広報の基本 ・ビジョン浸透の障害は? ・Whatを考える ・人の心を動かす7つのストーリー ・社員の心理を知っておく ・デリカシー欠如による問題 ・Whoについて考える ・社員の意識とコミットメントが成果につながるのか ・経営の構造をチェック ・経営と広報のコミュニケーションをチェック ・意識統一の5段階伝え上手と伝え下手の差 ・伝達プロセスを見直す ・意識と行動の定量的な把握会社を「チーム」にするPDCA |
13:00~15:00 |
演習 インナー広報戦略を立案する ・インナー広報のマーケティングアプロ―チ ・アイデアマンが陥りがちなインナー広報戦略 ・インナー広報の3つの役割 ・インナー広報戦略の組み立て方 ・インナー広報戦略立案の10のポイント ・演習 |
15:15~16:15 |
メソッド 広報ツールを企画作成する ・伝えるネタはどう探すか ・要望のアンケートをどう取るか ・特集の企画 ・文章/編集のスキル ・エピソード化 ・話の膨らませ方 ・「人」にどうフォーカスするか、取材するか |
16:30~17:30 | 調整中 |
小野 真由美氏
株式会社グラスルーツ
代表取締役