2023年春から上場企業は、有価証券報告書において、人材投資や育成の情報開示を義務付けられました。一般的に人的資本の開示と言われるこの流れは、今後、日本の産業界に広く浸透する見込みです。それは、投資家が企業の中長期的な価値を働く人に見出しているためです。社員の知識やスキルが高まることによって、企業の競争力と価値が高まります。そのため各社では、社員のやりがいや成長実感の向上も含めて、人的資本の成長サイクルを回すことに本腰を入れて取り組み始めました。しかし、具体的なアクションを起こせている企業や、レポートを開示できている企業は、現時点ではまだ少数です。近い将来、確実にやってくる「投資家」「従業員」「求職者」からの審判を待って取り組むのか、チャンスと捉え積極的に取り組むのか、企業姿勢が問われています。本講座では、人的資本経営を取り巻く、原理原則的な考え方と、組織・業務に対する社員のコミットを引き出す手法についてお伝えします。
人的資本経営の概要を理解する講座です。なぜ今、対応が必要とされているのか、そして何に取り組むべきなのかを理解することで、投資家・従業員・求職者からの評価を高めるメカニズムを学びます。
何が起きているのか?まずは全体像を端的に把握する
市場変化の少ない時代に最適だった管理的経営の限界が訪れています。VUCA時代の現代は、社員一人一人の創造性が競争力となります。つまり、多様性にあふれ、熱心に働く社員の多い企業の方が、中長期的に変化に対応し、成長を見込めると投資家に判断されます。政府も、統合報告書への任意記載だった人的資本開示を有価証券報告書への義務化に舵を切りました。講座では、人的資本に注目が集まる理由を「社会的役割」「大変化時代の事業戦略」「企業価値評価」「世代価値観・風土」の4つの視点で概観します。
会社の目指すところを部下に説明できるよう本質を理解する
人的資本経営に紐付いて、リスキリングやスキルシフトを強化する企業が増えていますしかし、この背景が経営層からのメッセージとして社内浸透していなければ、現場では、企業において不要とされた人材の再教育システムと理解されてしまいます。経営層(会社)からの成長を促す期待のベクトルと、社員からの目先の待遇向上を求めるベクトルを、マネジャーは翻訳する必要があります。これは次世代マネジャーの必須スキルと言えます。
投資家・従業員・求職者から選ばれる企業になるために手法の引き出しを増やす
投資家への情報会議は義務化されましたが、その内容は各社探り探りです。国際的指針ISO30414に沿った公表を行った豊田通商や、人材投資額の目標と実績値を公表している味の素など、教材となる先進企業は存在します。しかし、これらの企業を真似ていれば安心という訳ではなく、置かれた状況に応じて自社に最適な手法を考える必要があります。講義では、従業員の志に注目して人材の活かし方をお伝えします。原理原則の理解と、事例・手法をインストールすることで、施策の引き出しを増やします。
時間 | 講義内容 |
約50分 |
・人的資本開示にまつわる前提情報の共有 ・有価証券報告書での開示義務 ・求められるのは「目標」と「進捗」 ・人的資本経営が注目される理由と先駆者の事例 ・注目が集まる4つの視点 ・打ち手の開示ではアピールにもならない ・人的資本活用 / 改善の土台「心理的安全性」 ・日本組織で心理的安全性が重要である構造的理由 |
約70分 |
① 戦略的に「カルチャー」をつくる ・カルチャーづくりを実現するフレーム「言語化―仕組み化―習慣化」 ② 人を活かす組織のキーワードは「叶え合う組織」 ・企業独自のカルチャーをつくりながら、ぜひ取り組んで欲しい「叶え合う組織」とは? ・叶え合う組織を実現するフレーム「土壌づくりー相互認知―相互共感―相互貢献―相互実現」とその使い方 ・企業事例 ③ 個人の「志」を取り巻く課題 ・独自のサーベイでわかった課題 ・叶え合う組織をつくる上で働く「個人」が価値観 / 強み / ありたい姿などをそもそも言語化できていないこと ・解決していくための施策例 ④ 最後に |
田中 弦氏
Unipos 代表取締役 CEO
1999年にソフトバンク株式会社のインターネット部門採用第一期生としてインターネット産業黎明期を経験。その後ネットイヤーグループ、コーポレートディレクションを経て、2005年ネットエイジグループ(現ユナイテッド社)執行役員。モバイル広告代理店事業を立ち上げ後、2005年アドテクとインターネット広告代理店のFringe81株式会社を創業。代表取締役に就任。
2013年3月マネジメントバイアウトにより独立。2017年8月に東証マザーズへ上場。
鈴木 祐介氏
株式会社パラドックス 執行役員
ブランディングプロデューサー/クリエイティブディレクター
PARADOX創研 所長
2003年パラドックス創業期に参画。多数の志あふれる企業・事業のブランディングに携わる。領域は理念策定から、商品・サービス開発&プロモーション、組織活性&理念浸透、採用設計&育成、各種クリエイティブツール開発まで、戦略~実行まで多岐に渡る。パーソナルミッションは「社会の課題をクリエイティブに解決する」。2019年には、人や企業が志を実現していくためには何が重要なのか、研究・ナレッジ開発を行う「PARADOX創研」を設立して所長に就任。2020年には、社会課題に挑むスタートアップや変革期の志企業を支援する投資&共創型ブランディング事業「PARADOX INCUBATION」を立ち上げ、責任者に就任。出資企業の役員も兼務。企業セミナー等、講師多数。経営学修士(MBA)。
◯受賞歴 東京コピーライターズクラブ新人賞、福岡コピーライターズクラブ新人賞、CCNクラブ賞、日本BtoB広告賞(金/銀/銅)、人生広告年鑑ほか、受賞・雑誌掲載多数
オンデマンド配信講座
開講日 |
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受講価格 |
59,000円(税込 64,900円) ※申込金5,000円(税込 5,500円)を含みます |
注意事項 |
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オンデマンド研修(人数100名まで)
開講日 |
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受講価格 |
550,000円(税込 605,000円) |
補 足 | |
注意事項 |
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