プランナー・クリエイターに求められる「売り」へつなげる意識とスキル

振り返る「アクティベーション」の35年間 いま、行動変容はエクスペリエンスデザインへ

  • 加藤 大氏(モメンタム ジャパン)

広告業界において、セールスプロモーション(SP)という言葉を聞く場面が少なくなった。その背景には「販売チャネルや認知を獲得する手法も複雑化したことによって、SPが単独で機能しなくなったこと」があるのではないか、とモメンタム ジャパンでSPやアクティベーションを担当してきた加藤大氏は語る。35年間の中でSPやアクティベーションのあり方は変化し、その度にクリエイターに求められる意識も変化している。

私がマッキャンエリクソンに入社したのは平成元年。今まで一貫してセールスプロモーション(SP)やアクティベーションプランナーとして生活者の行動を促すクリエイティブを担当してきました。

ですが、自分自身が置かれてきた環境を振り返ってみると、この約35年の間でいわゆる「アクティベーション」という言葉は、時代とともに絶えず変化してきた印象です。今回の特集のテーマ「クリエイターに求められる“売り”への提案」とあるように、本質的な仕事は購買をはじめとしたアクションを起こさせる企画づくりなのですが、肩書や部署の名前、会社としての位置づけが変わってきました。

SP単独では機能しない時代にアクティベーションが生まれた

私がマッキャンエリクソンに入社した頃の1990年代、まだ当社でアクティベーションという言葉は社内に浸透していませんでした。なんという言葉を使っていたのかというと「セールスプロモーション」。THE 販促を想起する名称が肩書や部署名に採用されていました。

モノを売る手法の基軸にある…

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プランナー・クリエイターに求められる「売り」へつなげる意識とスキル

「認知だけでは売れない」と言われる時代。モノにあふれ、生活者との接点やメディアも多様化していくに伴って「知ってもらう」ことがストレートに売れることにはつながりづらくなりました。そこで再注目されているのが「アクティベーション」という概念です。「認知」獲得のその先、ミッドファネルの態度変容、さらにロウワーファネルのコンバージョンまで、消費者の行動を具体的に喚起するプランニングが求められるようになっています。これに伴い、「認知」獲得に主眼を置いていた広告クリエイター、PRプランナーの仕事や役割も変化しつつあるのではないでしょうか。
一方で、「販促」施策だけでも売れにくくなっているのも事実です。プランナーには、ブランドコミュニケーションで培ったブランドイメージや世界観をしっかりと売り場やキャンペーンにも落とし込み、両者に齟齬がないように一貫した統合プランニングが求められています。
ともすれば、「広告」と「販促」の垣根が曖昧になっていると言われるのも、どちらか片方だけではモノが売れなくなっているからだと考えられないでしょうか。本特集では、認知獲得に長けてきた広告会社、PR会社、クリエイティブエージェンシーと、販促やアクティベーションを得意とする企画制作会社に取材。今だからこそプランナー、クリエイターに求められる「売り」への意識とスキルについての意見を聞きました。

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