香川県の食品製造・卸売会社が展開するサバチップス「SABACHi(サバチ)」。サバの粉末を70%配合し、子どもからお年寄りまで広く楽しめるお菓子を誕生させた。サバを含有したお菓子という珍しい商品が、どのようにヒットしたのか聞いた。

- 商品名:SABACHi(サバチ)
- 価格(税抜):250円
- 累計出荷個数:200万個(2020年10月時点)
- 主な販路:コンビニ、ドラッグストア、スーパーマーケット、自社ECサイト、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのECサイト
DATA
タイの菓子やサバ缶から着想
──えびせんやしらすせんべいはよく聞きますが、サバチップスはあまり耳なじみがありません。着想のきっかけは?
直接的なきっかけは、当社の代表、西山泰和がタイに出張した際、現地でサバチップスが古くから親しまれていると知ったことでした。日本でも人気の高いサバをお菓子にすれば、多くの人に受け入れられるのではないかと考えました。
──国内でサバ関連商品はどれぐらい親しまれているのですか。
2017年頃からサバ缶ブームが訪れ、情報番組やネットメディアなどでその美味しさやアレンジレシピが多く取り上げられていました。
同時期に当社でも「さばの味噌煮ふりかけ」を販売し大ヒット。ふりかけグランプリで銀賞を獲得した実績もありました。こうした背景からサバチップスもヒットが見込めると考えました。
バイヤーの声で訴求点を変更
──ターゲットは。
当初の想定は、40〜60代のお酒が好きな男性が中心で、体にいいおつまみを作りたいということが出発点でした。ところが商品化後に食品関連の展示会に出展したところ、栄養価の高さが多くの来場者の目に留まり、「子どもに食べさせたい」「高齢者の栄養補助に良さそう」という声が相次ぎました。
そこでバイヤーや来場者の声を踏まえて訴求ポイントを変更。サバを70%配合していることや、カルシウム、DHA、EPAなどを豊富に含んでいることを打ち出し、妊娠中や子育て中の女性、高齢者層までターゲットを広げ、手軽に栄養を摂れることを訴求ポイントとしました。
また、30〜50代くらいの方々が高齢の親や子どもに購入することを狙い、購買の意思決定者と、実際の利用者が異なる仕掛けでより多くの人にアプローチすることができました。
──スナック菓子としては比較的高価格帯です。
サバの含有量が多いことから、どうしても一般的なスナック菓子に比べて高価格にならざるをえません。それでもあくまでも菓子として販売したかったため、ぎりぎりの価格設定になりました。
丁寧な対話で信頼獲得
──どのようなプロモーションを行いましたか。
マス広告は使わず、ソーシャルメディアやバイヤー向けのメールマガジン、店頭でのPOPによる訴求が中心でした...