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広報担当者の事件簿

小説で学ぶ危機広報 過熱する記者を一蹴した広報課長の一言とは

    File 〈後編〉日の丸製薬駿河工場火災事故

    前編はこちら

    画像提供/Shutterstock

    【あらすじ】
    5月1日、「日の丸製薬駿河工場」で火災が発生。広報課長の荒田啓司と部下たちは、必死で現場のメディア対応に当たっていた。情報を求めて記者が殺気立つ一方、作田宣彦工場長は「マスコミ対応する暇はない」と、会見に出るよう求める荒田を冷たくあしらう。「社長や工場長は出てこないのか!」。そう執拗に詰め寄る記者に対し、荒田は─。

    5月1日午後3時10分

    「午後5時から、弊社社長今野の記者会見を、駿河工場長同席のもと行います」。

    出火から約7時間が経過し、この間ニュースサイトはもちろん、全国ネットのニュース番組で絶え間なく中継されていた。現場となった日の丸製薬駿河工場には、あらゆる媒体の記者やカメラマンが押しかけ、騒然としている。7回目の記者ブリーフィングで、ようやく会見の実施をアナウンスできた。荒田啓司は誰からも見られないよう、そっと吐息をついた。

    爆発後、工場内に設置された対策本部で、鎮火後の謝罪と説明が必要と説いた。しかし「広報で対応してくれ。マスコミの相手をしている暇などないんだよ」と駿河工場長の作田宣彦はにべもなかった。

    荒田の全身を憤怒が駆け巡った。「この非常時に工場の総責任者が逃げてどうするんですか!」と作田に詰め寄った。その場にいた工場幹部は、誰も口を開かなかった。全員が下を向いたままである。修羅場から一刻も早く逃げ出したいようにしか見えない。「火の粉を振り払いたいだけか…」。

    「30分だけ待っていただきたい」と詰め寄ってきた記者たちに告げてから、既に1時間が経過している …

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