デジタルで変わる ニュースの流通構造

デジタルの広報効果測定を始める前に 知っておきたいニュースの仕組み

82.9%の企業がウェブメディアにリリースを配信するようになった現在*1。記事クリッピングや効果測定の対象としてウェブメディアを加えるケースが増えた。ここではウェブニュースが流通する仕組みや価値判断について考えていきたい。
図版監修/ソーシャルワイヤー

新聞2紙、テレビ2番組、雑誌8誌、インターネット58媒体……ある企業がひとたびニュースを発信し、その掲載状況を調べると記事クリッピングの結果としてこのような数字が報告されることがある。明らかにインターネットでの記事掲載数が突出しており、特にBtoC商材などネットユーザーとの親和性が高いニュースや、タレントなどが関わる内容の場合には「数百媒体で掲載があった」というケースも少なくない。

そもそも「クリッピング」とは、各媒体から必要な記事を選別・取得することであり、自社の広報活動の成果やニュースとしての価値をはかるために広報部門が日常的に実施している活動を指す。編集部が2015年9月に実施した調査*2では、9割以上が報道記事のクリッピングを日常業務に組み込んでいる。その際、「業務の一部を外注している」は34.3%、「すべて外注している」は20.0%という結果だった。

図1 ウェブの情報流通構造
◆編集記事を書いているメディアを狙うのがポイント。
そのうえで、転載記事、キュレーション記事として波及しやすい編集記事を書いているメディアを押さえるのがコツ
◆広報が効果分析を行う場合、記事(投稿)の流れを具体的に追っていく必要がある。
その際、すべての記事が等価ではないため、獲得した記事に重みづけ(多くの読者に読まれるものほど高ポイント)をしながら分析するのがポイント

企業向けにクリッピングサービスを提供しているソーシャルワイヤーによると、中でもウェブメディアを対象としたクリッピングはニーズが増えている一方で、「日々変化している、ウェブニュースの仕組みを厳密に理解して利用する企業は少ない」と話す。図1は、ニュースが流通する仕組みをシンプルにまとめたものだが、内訳はそう単純ではない。

特にニュースサイトは運営方法が複雑化している。
(1)自前の編集記事のみで構成するサイト
(2)自前の編集記事+転載記事のハイブリッド型
(3)転載のみで構成されているサイト
(4)転載記事のなかにプレスリリースの転載が含まれるサイト
などのほか、一般に「キュレーションメディア」と一括りで呼ばれるサイトの内容についても図2のように多岐にわたることが分かる。

図2 ウェブ記事の分類
補足)
◆メディアの種類・運営方法は様々で、上記1種類の記事だけで運営されているメディアばかりではない
◆キュレーションメディア=すべてキュレーション記事で構成されているわけではない
※キュレーションメディアにも、多数の独自記事(編集記事)が掲載されている場合もある
※3-1、3-2など複数の種類の記事が混在しているキュレーションメディアも存在する

クリッピングの目的のひとつは広報活動の成果測定であり、掲載本数が多いぶんに越したことはない。社内で報告する際の数字は一見すると価値あるものになる。一方で、複雑化したニュースの構造を把握せず「本数勝負」のみを目標とすると、本来の広報活動の目的から外れてしまうことも。

「掲載本数や広告換算額ではなく...

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ネットニュースでの記事本数、SNSでの拡散・シェア数......広報活動の成果をはかる指標の一つとして、多くの広報担当者がウェブ上の効果測定を日々の活動に取り入れるように。一方で、ウェブ上のニュースの流通構造は日々変化しています。記事クリッピングやソーシャルリスニングに取り組む際に押さえておきたい、変化するメディアの現在に迫ります。