2017年版 危機管理広報マニュアル

吉本出身の謝罪マスターが教える 有事後の「心の持ち方」「行動の手順」

  • 竹中功(謝罪マスター/元吉本興業・広報センター長)

吉本興業で35年にわたり、所属タレントの不祥事対応を経験してきた筆者が有事における被害者との向き合い方、「謝罪」のポイントをレクチャーする。

企業にも団体にも、あるいは家庭にも有事はいつやってくるか分からない。「有事」とは戦争や大規模な自然災害などの非常事態が起こることを言う。企業や団体のケースでも、場合によっては生死の分かれ目に遭う。例えば不正行為、横領、偽装、改ざん、欠陥、不正受注、異物混入、期限切れ、工場爆発、個人情報漏えいなどだ。社内の問題では、セクハラ、パワハラといった数々のハラスメント。業務には関係ないが社員の犯罪に痴漢、盗撮、賭博、薬物、交通違反、強盗、反社会的勢力との関係などもある。本人に悪意はなくとも病気、入院、ケガ、交通事故など、そして家庭内ではDV、不倫、離婚などがあると言える。

こういった有事を避けるのがリスクマネジメント(危機管理)であるのだが、ここでは実際に事件・事故が起こった瞬間から「謝罪」に向かっていく行動について説明しよう。

被害者の気持ちを最優先すべし

まずその前に「謝罪」の目的とは何かと考えたい。ここは「心を込めてスピーディに直接謝る」という行動のススメだけではなく、「被害者の気持ちを最優先する」という行為が重要だ。被害者の「怒り」を他人事にせず、「自分事」として、深い理解をせねばならないのである。

ケガ、死亡、物損などにかかわらず、実際には被害者の「心の問題」を第一に考えよう。そして「許す、許さない」というあらゆる答えは相手が持っていることを忘れてはならない。ここで「これぐらい謝ったから、もうええやろう」なんて考えでいると …

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2017年版 危機管理広報マニュアル

三菱自動車の燃費偽装、有名企業のお家騒動のほか、タレントや著名人など個人に対する批判など多くの不祥事が発覚した2016年。編集部の独自調査をもとに、その問題点や評価のほか、クライシス発生時の広報部の動きを想定した水面下のシミュレーション、危機管理広報の考え方、炎上対策まで専門家とともに考察していきます。