2021年 コロナ下の危機対応 実例と応用

リアリティ番組のリスクに番組側のフォローは? 一方的で信憑性に欠ける報告書

  • 鶴野充茂(社会情報大学院大学 特任教授/ビーンスター 代表取締役)

問題の経緯

2020年5月23日

恋愛リアリティ番組『テラスハウス』に出演していた女子プロレスラー・木村花さんが5月23日、亡くなっていたことが分かった。同日、彼女のSNSには「愛してる、楽しく長生きしてね。ごめんね。」などのコメントが投稿されていたという。彼女をめぐっては、番組内のとある出来事によりネット上で激しい中傷を受けていたとされる。

世間の評価(アンケートから)

●該当番組がすぐには打ち切りにならず配信が続行され、放送局自体も非常に曖昧な対応で不快感があった(37歳男性)
●第三者調査結果含めてフジテレビの釈明が不十分(59歳男性)
●やらせの認識が視聴者と制作側で違うと思った(45歳女性)
●出演者の問題を有耶無耶にしたままネットに責任を押し付けた(35歳男性)
●リアリティ番組自体のイメージが悪くなった(28歳女性)

メディアからの書かれ方

●「テラハ『木村花さん』の死は、SNSでなくフジテレビの問題だ⋯悔やむ業界関係者 誹謗中傷はTV進行と密接関係にある」(2020年5月29日、プレジデントDigital)
●「木村花さんの母、テラハ報告にフジの姿勢を問う『テレビは人が傷つくようなものを作ることもできる』」(2020年8月2日、ハフポスト)

フジテレビ誹謗中傷への対応問題の経緯

ネット上の誹謗中傷が悲劇を招いた2020年を代表する事件である。リアリティ番組『テラスハウス』出演の木村花さん個人のSNSに、番組中の言動に対する批判が大量に集まった。それを苦にした自殺と見られている。皮肉にも、同番組YouTube上では別の出演者がネット上の批判に悩み、木村さんが気にしないようにと励ますシーンも公開されていた。

番組は毎回、冒頭で「台本はない」と強調して進行する。しかし...

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2021年 コロナ下の危機対応 実例と応用

2020年も残すことあと僅か。この1年はまさにコロナ一色となってしまいました。一方、急速なオンライン化から働き方改革が進んだ、との声も。そんな中、発生した企業の危機を最小限に抑えるため、危機の状況とその対策を広く伝える広報業務の一丁目一番地「危機管理広報」は、コロナ下でどのように変化したのでしょうか。2020年に発覚した不祥事とその問題点を洗い出し、2021年の対策につなげていきたいと思います。