企業ブランディング 求心力を生む新たな取り組み

JTB35年ぶりのグループリブランディング 「旅行会社」からの企業イメージ変革の鍵とは

JTBグループは2023年4月、35年ぶりのグループリブランディングを本格始動した。売上の7割が消失したコロナ禍を経て、どのようなコミュニケーションで、「旅行会社」という社会的イメージを「交流創造企業」へと刷新していくのか。

DATA
企業名 JTBグループ
設立年 1912年
従業員数 1万8663名(グループ全体 2023年3月31日時点)
リブランディングプロジェクトの体制 事業基盤機能(グループ本社機能)のブランド・コミュニケーションチームを中心に、各部門からのプロジェクトメンバーを組成。

JTBグループは2023年4月から、35年ぶりのグループリブランディングを始動した。旅行事業だけにとどまらない、「交流を創造し挑戦し続ける、多様性あふれるダイナミックな企業」としてのイメージを強く打ち出していく。

「新」交流時代を切り拓く

リブランディングのきっかけは、コロナ禍だった。旅行事業を主力としている同社は、売上の7割が消失。創業以来の危機的状況に陥ることとなった。そんな苦境のなかで就任したのが、現・代表取締役の山北栄二郎氏。山北氏主導のもと、2020年度に中期経営計画「『新』交流創造ビジョン」を策定。コロナ禍を経て変化した、人々の価値観に寄り添った交流を創造したいという思いを込め「地球を舞台に『新』交流時代を切り拓く」ことを掲げた。この経営ビジョン達成に向けた、事業の構造改革に次ぐ第2フェーズが、現在注力しているリブランディングである。

イメージの乖離が発覚

リブランディングを検討するにあたり、同社は社内外にグループの事業認知・イメージ調査を実施した。旅行事業のイメージが強いJTBグループだが、実は展開する事業は多岐にわたる。旅行を核としつつも、観光地のデジタル化整備の支援や、ビジネスイベント運営など、多角的に手がけているのだ。

「社外への調査の結果、JTBが展開している事業として、旅行の販売は5割近い認知がありましたが、旅行以外の事業はほとんど知られていないことが分かりました。特に地域活性化支援は、47都道府県すべてに拠点を置いているにも...

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企業ブランディング 求心力を生む新たな取り組み

社会における企業の存在価値を見つめ直し、企業のありたい姿について従業員と共に議論しながら、自発的な取り組みを促すコミュニケーションを積み重ねる。さらには多様なステークホルダーへ企業価値を発信し、対話していく─。こうした企業の求心力を高めていこうとする動きが活発になってきています。優秀な人材や共創相手を惹きつけるためにも注目が高まっている企業ブランディング。実践にあたっては、企業イメージを客観的に把握し、コミュニケーションを通じて解決を図っていく、広報部門の役割が欠かせません。