広報の企画・発想

アテント、パンテーンの企画の仕掛け人が考える 対話を重ね、皆の力を結集するPRの魅力

  • 細川美和子氏((つづく))

PRと広告を掛け合わせ、社会の中にある同調圧力や固定観念などに対して人々が“対話”をするきっかけを生み出している細川美和子氏。パンテーン「#この髪どうしてダメですか」、アテント「#常識をはきかえよう」の事例をもとに、同氏の思考法に迫る。

(つづく)
クリエイティブディレクター/コピーライター
細川美和子氏(ほそかわ・みわこ)

長く愛され続ける物語のあるブランドづくりを目指して、2022年にクリエーティブ・ディレクター・コレクティブ(つづく)を設立。

2つの「対話」が鍵

─パンテーンの「#この髪どうしてダメですか」、アテントの「#常識をはきかえよう」は、それぞれ同調圧力や固定観念をなくし、社会に新しい視点を提案した事例かと思います。企画において意識したことを教えてください。

この2つのキャンぺーンに共通していたことは、「対話」を重視していたことです。この対話には2種類あり、ひとつはブランドと生活者との対話。もうひとつは、ブランドと広告制作者の対話でした。

パンテーンの担当の方には、日本でブランドと生活者との絆をつくっていきたいという思いがありました。そこで、日本という場所、日本のカルチャーにおいてブランドが必要とされるために、大切なことはなにか?ということについて、チームで長い期間話し合いましたし、その上で、メッセージを届けたい世代にもインタビューを重ねさせてもらいました。

キャンペーン開始当時40周年を迎えたアテントの際は、担当の方たちがどのような思いで今この時代にリブランディングを行うのかを、丁寧に対話や掘り起こしを重ねた上で、オリエンを受けました。そのプロセスのおかげで、担当者が抱いている問題意識や、何のためにブランドを世の中に届けたいのかという考えを明確に伝えていただけたので、それが発想のきっかけになっています。

どちらも、企画やコンセプトが自分の中から湧き出てくるというよりは、人の話をしっかりとよく聞くことで生まれたものだと思っており、「聞く」ということは非常に大切だと考えています。まずは私自身の固定観念を外して、相手の話を聞く。ここに大きなヒントがあると思ってます。…

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広報活動において、話題を生み出し、共感を集めていくには、創造的な思考力が欠かせません。本特集では、生活者の声に耳を傾け、社会の変化や関心事を敏感に察知しながら、自社との接点を見つけ出し、伝わりやすいストーリーを構築していくためのヒントをお届けします。実際に話題を呼んだ広報活動のケーススタディを通して、どのようにしてステークホルダーの心を動かし、メッセージを形にしていったのかをレポートします。