地域×SDGs 社会課題に挑む

SDGsをベースにした広報戦略で 市民への発信力を強化

地方公営企業として、水道・下水道・ガス事業を経営する大津市企業局。経営戦略室では、2019年11月にSDGsを意識した広報戦略を策定した。戦略策定の経緯と、推進体制や具体的な取り組みについて聞いた。

滋賀県の南西部に位置し、琵琶湖の西岸に面する大津市。同市の水道水の水源は、もちろん琵琶湖だ。上・下水道とガス事業を経営している大津市企業局では、「琵琶湖の水を取水し、琵琶湖へ還す」という水循環サイクルを担っている。

同局では、経営戦略室 主査の仁志出彰子氏を中心に2018年10月ごろから広報戦略をリニューアル。民間企業や団体の広報担当者に意見を聞きながら課題を分析した。大津市公営企業管理者の山極正勝氏は「今までの広報活動は、単発のイベントの開催やウェブサイトでの情報発信などが中心で、営業活動に近いものでした。今回初めて、各活動がどのような成果や影響に結びつくか、SDGsを意識しつつ、検証していきました」と語る。

一方通行の情報発信を改善

「30年後にも、今と変わらず飲める水が蛇口から出ること。それが、企業局が絶対に守り続けるべきことなんです。本業がSDGsの6番に当てはまるということです」と仁志出氏。

そこで、2019年11月に完成した広報戦略では、企業局の未来について「お客さまのくらしを支えるパートナーであり続ける」と設定。ここからバックキャストして、現在必要なのは「お客さまとのコミュニケーション」だと分析した。

さらに、これまでの一方通行の情報発信を改め、広報が、顧客と企業局(職員)をつなぐ架け橋になるようなコミュニケーション設計に重点を置くこととした(図1)。「お客さまが知りたいことをピンポイントに伝えることや、目線を合わせることを意識するようになりました」と仁志出氏。

図1 広報が顧客と企業局をつなぐ架け橋に

出所/大津市企業局

この方針に沿って、2019年7月に市民向けの広報誌『Pipe Line』(年4回発行)もリニューアル。「啓発」や「依頼」のイメージが強い表現を「共感」や「拡散」を意識したものに替えた。例えば、「水道水はおいしいので飲んでください」を...

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環境・教育・働き方など、未来に向けたあらゆる社会課題の解決に立ち向かうのもPRの役割ですが、企業単体での取り組みには限界があります。最近では一企業の社会貢献ではなく、事業として加速させようと地域を巻き込む動きが増えてきました。官民連携で人々の認識や行動を変えようとする取り組みと、そのような場面での広報・PRの重要性を考えます。

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