2021年 コロナ下の危機対応 実例と応用

社員には事前に正しい情報を 報道で明るみになるリスク

  • 角山 剛(東京未来大学学長/産業・組織心理学会理事)

問題の経緯

2020年3月4日

アースミュージック&エコロジーなどを展開するストライプインターナショナルの石川康晴氏が、複数の女性社員らにセクハラ行為をしたとして、2018年に同社の臨時査問会で、厳重注意されていたことが分かった。朝日新聞が3月4日、報じた。査問会では被害女性の証言などが資料として提出され、石川氏は宿泊研修時に女性社員を部屋に来るよう誘ったなどとされる。石川氏は誘った事実などを認め、陳謝。一方でセクハラ行為には該当しないと主張している。騒動を受け、社長職を辞任した。

ストライプインターナショナル セクハラ問題の経緯

世間の評価(アンケートから)

●アパレルで働きたくなくなる(37歳男性)
●対応が遅い気がした(42歳女性)
●ちょっと信じられない。ブランドイメージがガタ落ちしたと思う(48歳女性)
●若い女性向けの柔らかいブランドイメージとあまりにかけ離れており不快(32歳女性)

企業広報の視点のひとつは、企業の社会的責任(CSR)の一環を担って、外部のステークホルダーに企業の活動を正しく伝えることであり、もうひとつは従業員に会社の活動状況を正しく伝えることである。ステークホルダーから正しく評価されること、会社についての知るべき情報が正しく伝わっていることは、従業員の帰属意識(コミットメント)を高め、仕事へのモチベーション向上にもつながる。

その点、本事件は、報道による発覚後、当日中にHP上で社長コメントをアップするなど、直後の対応は迅速だった。だがそもそも、今回の事案は社長のセクハラ疑惑なわけだから、2018年の臨時査問会後すぐに社外に発表するべきだったと私は思う。なぜ、この時期まで公表が遅れたのか。こうした遅れは、会社への社内外からの不審・不信の原因につながるものとなりかねない...

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2021年 コロナ下の危機対応 実例と応用

2020年も残すことあと僅か。この1年はまさにコロナ一色となってしまいました。一方、急速なオンライン化から働き方改革が進んだ、との声も。そんな中、発生した企業の危機を最小限に抑えるため、危機の状況とその対策を広く伝える広報業務の一丁目一番地「危機管理広報」は、コロナ下でどのように変化したのでしょうか。2020年に発覚した不祥事とその問題点を洗い出し、2021年の対策につなげていきたいと思います。

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