「この仕事が向いていない」という悩みを抱えている若い広報パーソンの皆さんに向けて、私が今日まで広報を続けてくることができた、ある経験をお話しします。
昨今、創業初期のスタートアップや、これまでその機能を持っていなかった地方企業が広報を設置するなどの現象が多く見られるようになり、広報やパブリックリレーションズ(PR)の必要性について、その理解が進みつつあると感じています。ただ一方で、PRの本質的な情報は、社会に広くは届いていないことも同時に感じられます。広報パーソンがより深くPRを理解し、活躍をすることが、この課題解決の一つの伴になると、私は考えています。
広報の実務は多様ですが、どの組織やフェーズにおいても必要とされるのは「社会とどのような関係を築くか」というPRの基本理念です。しかし、学生時代にPRを学ぶ機会は少なく、取り組みの難しさを感じる広報パーソンが多いことも事実です。
長くこの仕事に携わってきた私も、初期のころは慣れない情報の海の中で、緊張しながら対応する日々を過ごしました。一つ間違えば、明日の朝刊に誤った情報が掲載される可能性がある。手に汗握るタフな出来事も経験し、呼吸が止まるような感覚を覚えたこともあります。また、長期にわたり成果を感じられず、途方に暮れたこともありました。今でも、何も悩むことなく成果につながることはまれです。
数々の悩ましい経験をしながらも長くこの仕事に携わることができているの...