多様性・健康の推進で組織活性 社内コミュニケーション

意識を変えるには知識を高めること──大橋運輸の『ダイバーシティ推進』

大手企業では近年、人材のダイバーシティ採用が本格化している。だが、「中小企業こそダイバーシティを」と唱え、革新的な試みを続けるのが愛知県の大橋運輸だ。業界の内外を問わず、その取り組みで高い評価を受ける同社社長の鍋嶋洋行氏に話を聞いた。

「健康経営」の取り組みとして始めた、社内管理栄養士LINE。毎週月曜日に健康情報を発信するほか、社員の個人の健康課題についてもLINEを通じて健康情報やアドバイスを行う。気軽に相談できる場があることで、“食”以外の問題が生じた際も、声を上げやすい雰囲気になっているという。

    CASE4

    #健康経営 #ダイバーシティ #安全衛生 #研修 #LINE

DATA
従業員数 89人(2022年時点)
広報部 2人

創業から60年以上。愛知県内に4カ所の事業所を展開する大橋運輸は、中小企業ながら先進的な試みを行っている。

その内容は「ダイバーシティ」「働き方改革」「健康経営」を軸に多岐にわたり、2021年3月には経済産業省が選定する「新・ダイバーシティ経営企業100選プライム」にも選定され、地元新聞を中心に、メディアでも多く紹介されている。

始まりは「女性視点の導入」

同社社長の鍋嶋洋行氏は、社員が働きやすい環境を整えることになったその経緯を、次のように語る。

「元々、ダイバーシティ推進は従業員満足度(ES)向上の取り組みのひとつでした。1990年代以降、トラック運輸業の規制緩和などを背景に、価格競争は激化。そんな中で顧客に“選ばれる”企業であり続けるには、顧客満足度を上げる“付加価値”が必要となってきます。そして、顧客満足度を上げるためには、単なる労働力にとどまらない『人財』の確保、そしてそのためにES向上が必須だったのです。ダイバーシティを単なる“労働力”確保のための視点で考えている企業も多いですが、我々は『付加価値を提供する』ことが企業成長の要と考え、“付加価値人材”確保の考え方をしているんです」。

そもそも、物流業界は就業者の男性比率がとても高い。加えて、安全対策はどこの企業でも取り組んでいるものの、時代は社員の健康にも関わる、安全“衛生”対策を重視するようになってきている。そこで鍋嶋氏は、“女性視点”を活用して安全衛生対策を見直し、自社独自の働きやすい環境づくりに取り組もうと考えたのだという。

「当社では、子育て期の女性社員に対して、4時間勤務や週3日勤務、出社時間も午前・午後で自由という体制をとっています。働き方改革に関して特に意識したのは、管理職の仕事の効率化です。優秀な人材なのにフルタイム勤務でなければ管理業務ができない、というのは非常にもったいないこと。そこで、短時間でも成果が出せる体制をつくり、社内の意識改革をしていきました」。

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多様性・健康の推進で組織活性 社内コミュニケーション

働く一人ひとりが仕事に誇りを持ち、自発的に動き、力を最大限に発揮する。組織の中で刺激し合い、価値を生み出し、生産性を高めていく。そうした良い循環を生み出すために、広報担当者は重要な役割を担います。組織全体を見渡し、会社の方針・ビジョンが正しい文脈で伝わっているか。社内にいる多様な人材が対話し、相互理解を促す機会が設けられているか。心身ともに健康でいられる企業文化を醸成、発信できているか。そうした視点で社内コミュニケーションを再点検します。

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