トップの発信 支える広報

指針が組織に浸透、そこにはトップと広報の連携がある

年350本更新している住友ゴム工業のウェブ社内報。中には山本悟社長が語り掛ける動画や記事が含まれ、組織の動きをつぶさに伝えている。新しい企業理念体系や中期計画、そしてトップの想いを浸透させるため、広報と経営企画部門の連携も進む。

新企業理念体系「Our Philosophy」の策定
新企業理念体系は、住友ゴムの存在意義であるパーパス、「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」を頂点に、パーパスの背景説明としての「Story(信念)」、「Vision(ありたい姿)」「住友ゴムWAY(大切にすべき価値観)」からなる。言葉に込めた思いを読み解く冊子や世界観を伝えるムービーを制作。山本社長が自らの言葉でOur Philosophyを解説する動画のアーカイブ配信も行い、理解を促す。

住友ゴム工業 DATA
  • 創業年:1909年
  • 広報体制:社内報は本社(神戸)の広報が担当。
  • 2020年12月、年末恒例の記者会見で山本悟社長は、新企業理念体系「Our Philosophy」を発表。不透明で変化の激しい環境に、柔軟に対応するには、存在意義を明確にし、社員をはじめとしたステークホルダーとブレない指針を共有することが必要、と発信した。

    理念体系の再編、若手が進言

    新体系導入のきっかけは、長期目標を掲げた「VISION2020」が2020年に最終年度を迎えることだった。経営企画部で次なるビジョン策定にあたり、若手部員が声を挙げた。

    これから会社を引っ張るミレニアル世代の社員にとって、数値中心の目標の前に、共感できる指針があることが重要ではないか。

    この問いかけは社員アンケートでも裏付けられた。山本社長の賛同のもと、既存の理念や行動指針の位置づけを整理し、なぜ住友ゴムが存在するのか、平易な言葉で表現し直すプロジェクトが動き出した。ESG経営など、社会と共存する企業の在り方が求められる社会情勢も、取り組みを後押しした。

    こうしたOur Philosophy制定の経緯は、後に広報部が、ウェブ社内報で詳しく報じている。

    新人広報部員の質問に山本社長が答える記事では「理念体系をいま再編しようと決めたのはなぜか」「これまでの理念から何が変わったか」「策定した言葉にはどんな意味が込められているか」「新しい理念体系を体現するために、これから何をするのか」について語られている。

    トップが自らの挑戦を宣言

    Our Philosophyの社内発表は、記者会見の半月前。経営層への理解・浸透をさらに確実なものとするため、社長を含めた経営層対象のワークショップも行っている。

    参加者には「新理念体系策定の背景について、取材を受けても答えられるように」と、1日がかりで取り組む量の宿題が出された。

    その内容は、理念体系の核となる住友ゴムの存在意義であるパーパス「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」の具体的な体現方法について、自社で何が提供できるかや、自身の会社人生を振り返って、体現できた事例があったかどうかを...

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    危機のさなかには、経営トップの発信力が強く求められます。ステークホルダーの不安に向き合い、企業として何を大切にするか。トップが語り掛ける内容を、広報視点で提案することが、ますます重要になっています。また、コロナの影響で、オンラインでの発信にも注力していく必要が出てきています。広報は今、トップの発信を、いかに支えていけばいいのでしょうか。

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