「戦略的社内広報」で社員が変わり、会社が変わる。

食堂や作業服をリニューアル 太陽ホールディングスの「自立型人材」育成のヒント

「自ら考え、行動できる人材を育てたい」というトップの考えを浸透させるため、電子材料メーカーの太陽ホールディングスが取り組んだのは社員食堂や作業服のリニューアル、「レクリエーション制度」の創設だ。

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東京・練馬に本社を構える太陽ホールディングス(HD)は、化学系の電子材料メーカーだ。「ソルダーレジスト」と呼ばれる、スマートフォンやタブレット内の基板に使用される材料では、世界シェア約6割を誇る。

1953年、印刷用インキの製造販売業として創業。伝統的なBtoB企業にはとかくありがちだが、これまで広報や情報発信の重要性は認識されていなかった。良いものをつくれば売れる、会社の良さは分かる人だけ分かってくれればよい─。かつて社内にはそんな考えすら存在したという。

しかし、2001年に東証一部に上場。アジア圏を中心にM&Aにも乗り出し、グループ社員は1000人を超えるまでに拡大。市場も成熟し強豪も参入する中、今まで通りに右肩上がりの成長が続くとは限らないと感じ始めた。

「企業としての推進力を高め、社員のモチベーションも強化したいと、2012年から広報活動に取り組んでいます。当社は社員の9割が男性ですが、広報担当の3人は私以外が全員女性。女性ならではのコミュニケーション力にも期待しています」と人事総務部長の荒神文彦氏は語る。

社長による食堂リニューアル

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リニューアルした食堂は取引先からも好評。打ち合わせに訪れてもらえる回数も増えた。メニューは近隣の嵐山町、小川町を中心とした埼玉県産で「地産地消」を意識している。

人材育成の核となるのは、佐藤英志社長のある考え方。「環境に甘んじるのではなく、自ら自由に考え、学び、育つことのできる『自律型人材』を目指すべき」というものだ。思いついたアイデアはどんなものでも実現していい─。そんな考えを、トップ自ら社員に示したのが、社員食堂のリニューアルだった。

2014年夏、埼玉・嵐山事業所の社員食堂が生まれ変わった。赤坂の料亭から料理人を招き、地元食材にこだわった料理をバイキング形式で提供している。しかも1食分の料金は400円と格安だ。「毎日バラエティーに富んだ食事を摂ることによって発想力が育まれる、という社長の狙いがありました。もちろん中には食堂を利用しない人や、利用しても同じような食事ばかり摂ったり ...

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「戦略的社内広報」で社員が変わり、会社が変わる。

従業員を対象としたインナーコミュニケーションを重視する企業が増えてきました。ある機関の調査によれば、広報活動における重要なステークホルダーとして「従業員とその家族」のスコアが上昇しているという結果も出ています

一方で、日本企業は海外に比べ、社員個人の職場への愛着や働きがい、組織への帰属意識という点では温度差があるという現実も。

社内広報の活動が生産性の向上に寄与しているかという点も検証が必要です。広報関連部門が今目指すべきは、トップをはじめ経営企画や人事など、他部門と手を携え、企業の改革に寄与する戦略部隊です。

今号では、この「戦略的社内広報」を実現するためのヒントをお届けします。

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