変化に対応する!新時代の企業ブランド

BtoBメーカーが取り組むブランディング 広報チームはブランドの体現者であれ

時代変化を見据えればBtoB企業もブランディングは必須──そう言い切るのが太陽ホールディングスのCBO(最高ブランド責任者)吉野由季子氏だ。2年間をかけて同社のブランディングを手掛けた手法について話を聞いた。

DATA
創業年 1953年
従業員数 2137人(2022年3月末時点)
広報人数 6人(課発足時は3人)

ブランディングするメリットとは

正しく知ってもらう機会を増やすことで将来、選ばれる会社であり続ける

太陽ホールディングスの設立は1953年。2023年で70周年を迎える、老舗のグローバル化学メーカーだ。幅広い事業領域の中でもプリント基板を覆うことで回路を保護する絶縁膜インキ「ソルダーレジスト」では世界シェアNo.1を誇る。

同社のブランディングへの目覚めは、同業他社にも驚きをもって迎えられているという。一連の施策の始まりは、現最高ブランド責任者である吉野由季子氏が同社の存在を知り、入社を熱望した2年前に遡る。吉野氏は当時のことを次のように振り返る。

「私は以前、日本にあるアメリカの医療機器メーカーの子会社でCOO(最高執行責任者)をしていました。転職を模索していた2年ほど前、偶然太陽ホールディングスのことを知ったんです。その時に感じた印象は、『なんじゃ、この会社?!』というものでした」吉野氏が驚いたのは、同社があまり目立たない化学メーカーながら、その事業内容に「世界を変える可能性」が含まれていたことだという。

「日本発で世界を変えていくこの会社の存在を、ひとりでも多くの人に知ってほしい」という思いから、これまでにもブランドマーケティングの経験が10年ほどあったという吉野氏は、早速入社を果たすと同社のブランディングに取り掛かった。

会社の“芯となる言葉”を探して

吉野氏の入社から半年後、「広報/ブランドマーケティング課」が発足。手始めに、これまでのブランディング活動について社内でヒアリングを行った。「当時、社内では“ブランディング”という言葉自体使われていないことが分かりました。ブレない軸をつくるために、会社のブランドステートメントを分かりやすい言葉で表現することからはじめました」。

具体的には、吉野氏がまず「ブランディングとは何か」をチーム全員にレクチャーするところからはじめ、理解の足並みを揃えたという。「最初から『会社』単位でのブランディングを話しても理解が進まないと考え、まずは『自分自身のブランディング』という、考えやすい題材からブランディングの認識を共有していきました」。その後、グラフィックレコーディングの手法を用いてワークショップを開催。都合4日間にわたって会社にとっての“芯となる言葉”の候補を挙げていった。

ブランドステートメントをつくる上で最も気をつけていたのは、チーム内や社員間に“温度差”が生まれないようにすること。勢い込んで過剰な言葉を使ってみたものの、社員に受け入れられないケースも多い。

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コロナ禍に加え、物価高による影響も出ている昨今。環境変化に伴い事業やサービス内容の変更・改善も行われています。そうした変化の中で、スーテークホルダーからの信頼を維持するには、組織の言行一致が重要になります。事業やサービスの背景にある、企業の存在意義を様々な接点で発信できているでしょうか。企業が目指す姿を社内で日常的に意識しながら行動できているでしょうか。企業ブランドを育てていくには、企業の実態や、どのようなイメージを持たれているか客観的に把握し、社内外のコミュニケーションを円滑にする、広報の役割が欠かせません。

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