新インターナルブランディング

進化するインターナルブランディング 新たなファクトの創発、事業創造を促す動き

  • 森門教尊(博報堂コンサルティング)

自社の提供価値を従業員が理解し実践していくための活動を指す「インターナルブランディング」。だが、その目的や考え方はこの20年で進化している。その変遷から見えてくる広報の役割とは。

Q1 インターナルブランディングはどう進化している?

A

伝達型(1.0)➡ 対話型(2.0)➡ 創発型(3.0)

2000年代前半は「自社はどのような会社を目指すのか」を社内外に打ち出すことで事業構造を刷新していこうとする企業の動きが目立ちました。共通言語をつくり浸透させ、組織内の求心力を高めるための取り組みとして、インターナルブランディングが位置付けられてきました。企業のビジョンや価値観を網羅したブランドブックを作成し、従業員に配布する施策もその一例。「会社はこう変わっていきます」と、社員に知らせる「伝達型」のコミュニケーションが主流でした。

これをインターナルブランディング1.0とすると、その後、2010年代頃にかけてインターナルブランディングは2.0へと変化します。背景にあるのは、デジタルの進展とソーシャルコミュニケーションの発達です。全社員にオンラインでアンケートをとり、リアクションをもらうといった双方向を前提とする「対話型」のインターナルブランディングが確立されていきます。社内SNSや社員参加型ワークショップを交えながら、意見を集め、ともにコンセプトをつくり、従業員の帰属意識やモチベーションを高めていくようになりました。

現在は、インターナルブランディングを通じて、企業が目指す方向性を体現する事業やサービスなどの新たなファクトを創造していこうとする動きが活発です。たとえば、社内アワードの開催や企業内大学の設立、社内ベンチャーの立ち上げなどが挙げられます。これまでは、コミュニケーション施策と事業が切り離されていたところがありましたが、昨今は、自社のパーパス(存在意義)と照らし合わせ、社員自ら新規事業を提案したり、企業の改革アジェンダを…

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社会における企業の存在意義や、重視する価値観について従業員が理解、共感し、自発的なアクションを起こしていく、さらには事業創造につなげていく──。こうした動きを活発化していくには、コミュニケーション領域を担う広報部門の役割が欠かせません。「インターナルブランディング」の進化を振り返りながら、全社を巻き込み取り組んでいる各社の事例についてレポートします。

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