進化する広報のこれから

主人公は、会社でありクライアント。広報が『情熱大陸』で取り上げられる日は来ない

  • 野呂エイシロウ

広報としてキャリアをスタートしたばかりの人たちに伝えたいこと。それは、会社が好調なときも、不調なときも、「裏方で支える」真の広報の姿。

一時期、筆者もいい気になってビジネス雑誌の取材を引き受けてきたが、今はすべて断っている。テレビ番組も断っている。というのも、広報というのは影の存在だと思うようになったからだ。

例えば、大リーガーの大谷選手。多くのスタッフがいるだろうが、その裏方の人が表舞台にしゃしゃり出てきたら嫌な感じがするだろう。例えば、世界的ブランドのエルメスやルイ・ヴィトンの広報やマーケティング担当者が「弊社の戦略は…」と公の場で内情を明かしたら買う気が薄れるだろう。

有名レストランの広報さんから、「ミシュランの星を獲るために、こんなことをやってます!」という話をされたら、料理の味が下落するかもしれない。そんなことを思うのは筆者だけだろうか?

もちろん業界人同士で情報共有しテクニックや手法を教え合って、お互いを高めることは必要だと思う。筆者も先輩に聞きに行ったし、PRの会社さんの講演会にも参加する。もちろん、本誌も教科書として毎月、赤い線だらけになる。写真もとってノートに張っている。でもそれは広報業界内の話だ。

舞台裏に宿る誇り

成功の裏には、必ず影の努力がある。一人ではなく、多くのスタッフが絡んでいる。その昔、ケネディ大統領がNASAを訪れたときに、清掃員は大統領に気が付かずに懸命に床...

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進化する広報のこれから

2025年4月、おかげさまで『広報会議』は創刊20周年を迎えました。この20年で、広報の手法や領域は大きく進化しています。ソーシャルメディアの浸透、SDGsへの関心の高まり、コロナ禍対応など、時代に応じて変化する要素がある一方で、対話を通じて信頼関係を構築していく広報の本質は変わりません。本特集では、広報の実務家や専門家が、その極意や心得を語っています。広報とは何かを改めて問い直し、社会や組織に求められる広報のあり方を考えるヒントとしてください。

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