話題を生み出す情報発信のアイデア

高額でも売れる商品の2つの共通点 差別化できるストーリーの打ち出し方とは(話題を生み出す情報発信のアイデア)

  • 川上徹也氏(湘南ストーリーブランディング 研究所代表)

市場がコモディティ化する中、生活者に選ばれるには「商品力」に加え、その背景にあるストーリーでの差別化が欠かせない。「高くても売れる商品」の共通点とストーリーづくりのコツを、コピーライターの川上徹也氏に聞いた。

─ストーリーブランディングを15年ほど前から提唱されています。

前提としてストーリーブランディングとは、商品やサービスの背景にある「物語」を発信して「感情的な消費」を促すことです。中でも最近は、商品(サービス)力の高さに加え、使用・体験時に気分が「アガる」ものや自分を労わるストーリーが付与された商品がヒットしています。あらゆるものの物価が上がるインフレ時代でも、一見コスパが悪く思える商品の一部が爆発的に売れているのです。そうした「高くても売れる」商品に見えてきた7つのキーワードを図1にまとめています。

図1 「高くても売れる」商品のキーワード

中でも昨今を象徴するのが ①「アガる」でしょう。一例として「リップモンスター」(花王)は、「マスクに口紅がつきにくい」という機能性でコロナ禍に爆発的にヒットし、2023年10月時点のシリーズ累計出荷数は1700万本を超えました。このヒットには、機能だけではなく「独自の世界観」で消費者の気分を「アゲた」ことも深く貢献していると考えます。まず商品名には、一般的に化粧品と相いれないワードである「モンスター」と付け、「とにかく落ちにくそうという最強感、貪欲な期待感を思わせる」(開発担当者)ことにこだわったそうです。商品名から「モンスターがいる世界観」を打ち出し、個々のカラー名も「憧れの日光浴」「水晶玉のマダム」などと、ユニークなネーミングに。機能の訴求だけではなく、「とにかく強い」世界観も打ち出す戦略で生活者の感情を動かし、口紅に再び注目させたのです。

また「人の温かさ」という新機軸でリブランディングし、大ヒットしたのは...

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話題を生み出す情報発信のアイデア

社会の関心事と自社に関する情報をいかに掛け合わせ、魅力的な情報に仕立てていくか。広報企画を練るにあたっては、柔軟な発想が求められます。本特集では①2024年のメディアの関心を知る ②自社と接点がありそうな社会課題や生活者の意識の変化について掘り下げる ③社会の関心事と自社のメッセージを掛け合わせる、の3つのステップにそってレポートしています。社内外に目を向け、話題を生み出す広報活動を考える上でのヒントにしてください。

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