企業変革を促す 社内コミュニケーション

「不適切動画」で炎上の大戸屋 全店一斉休業と風土改革の本気度

2019年2月16日にアルバイト店員による不適切動画が炎上し、3月12日に全店一斉休業による研修を実施した大戸屋ホールディングス。2018年に発足した「いきいきプロジェクト」で、組織風土を変えられるか。

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2016年に制作した「コンセプトブック」と、接客マニュアル「大戸屋トレーニングハンドブック(改訂版2019年)」。

2019年2月16日午後6時、大戸屋ホールディングス本社に激震が走った。同社が運営する飲食店「大戸屋ごはん処」のアルバイト従業員が過去に撮影した、店内で不適切な行為をしている動画が、SNSに投稿されて拡散したことが発覚したのだ。SNS上ではすでに炎上が始まっていた。

コーポレートブランド室の岩熊英一氏によると、同社はすぐに緊急会議を開き「その時点で分かっている事実を迅速かつ誠実に伝えることが大事」と判断。同日午後8時にはウェブサイトに謝罪文を掲載した。その20分後にはマスコミからの問い合わせが殺到し、翌朝にはNHKを筆頭に各社が一斉に報道した。

この一件を受け、3月4日のリリースで「従業員教育が不十分であった当社経営にも責任がある」とし、3月12日の全店舗休業を発表。従業員の再教育と店舗の清掃を通じて、飲食店で働くことの社会的意義を再認識させるととともに、食を提供する者としてのモラルの向上を図るとした。

執行役員で経営企画部部長の髙田知典氏は「食べ物を扱う企業として、安全・安心は最も大切なこと。他社のバイトテロへの対応では、自然に風化するのを待つケースも見られますが、当社は社会に対してきちんと事実を公表する必要があると考えました。そのため、"経営にも責任がある"と責任を明確にしました」と話す。

全店舗休業を決めたのは、ただ単に今後の対応計画を発表するだけなく、「実際に現場を変えているんだ」という本気の姿勢を知ってもらう必要があると考えたからだ。

休業当日の研修はそれぞれの店舗ごとに実施。本社の従業員も店舗に赴いて研修を受けたため、広報はメディア対応も休むことになった …

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企業変革を促す 社内コミュニケーション

あらゆる業界で人材採用・定着に関する課題を抱えている今、企業でイノベーション(変革)を探る動きが広がっています。その多くは即効性がある施策ばかりではなく、ブランディングや企業文化・風土の醸成など一定の時間とコストがかかることがほとんど。企業体としての持続的成長のため、地道なインターナルコミュニケーションの取り組みの重要性も見直されるようになってきました。今号では企業内の変革に乗り出した企業事例とともに、社内コミュニケーションの活性化について考えていきます。

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