コーポレートサイト改革

ニッスイ、商品サイトと企業サイトを統合 その舞台裏

2020年2月、コーポレートサイトを一新した日本水産(以下、ニッスイ)。これまで分離していた商品情報と企業情報を統合して回遊性を高め、同社の幅広い取組みやこだわりをステークホルダーが「発見」できるサイトに進化させている。


Webブランド調査(日経BPコンサルティング、2020春夏、一般企業編)で、前回105位から19位へと順位を上げたニッスイ。10年ぶりのコーポレートサイト・リニューアルで、PV数は前年比110%となり、強化したサステナビリティコンテンツは同180%と伸びた。トップページの最も目立つ位置に置いたのが新規コンテンツ「ニッスイいいね!」。企業姿勢や事業情報を生活者視点で読める内容で、これを見たメディアからの取材も入っている。

レシピ見て離脱、もったいない

リニューアルの背景にあったのは❶デザインが古い ❷CMS未導入で迅速な更新ができない ❸SSL非対応でセキュリティ強化が必要という喫緊の課題。加えて ❹ウェブアクセスの8割が人気の「レシピ・商品コンテンツ」の訪問であるが企業サイトへの遷移がほぼない、という課題があった。そこで回遊性を高め、企業の魅力やサステナブル関連の情報が十分伝わるよう、商品サイトと企業サイトを統合することに。

また、現在も1600以上が紹介されている「レシピ」コンテンツは、利便性を高めるため「時短」「栄養」など検索機能を追加。ライフスタイル提案などレシピ特集の拡充も図った。

*SSL(Secure Sockets Layer)対応サイトは、通信を暗号化し情報の改ざんなどを防ぐ。URLが「https」から始まるサイト。

リニューアル・プロジェクトは企業情報を担当するCSR部広報課の2名と商品情報を担う営業企画部の2名が主導し適宜、情報システム部や経営企画IR部とも連携し進行。戦略を練るにあたっては外部パートナーとともに、サイトへ関係する10部署へヒアリングを実施した。それぞれが考えるターゲットユーザーや、自社の強み、サイトへの要望を確認し、リニューアルへの協力を仰いだ。ワークショップも開催している。各部門から中堅社員も参加し、サイトの方向性に限らず、生活者が求めるニッスイの提供価値を全社横断的に改めて整理した。

生活者にとっては「ニッスイ=おいしい魚が食卓にある未来をともに目指すパートナー」、取引先や投資家、求職者などのステークホルダーにとっては「ともに歩む価値をはっきりと認められるパートナー」でありたい。そんな「ありたい姿」や全部門で共通する課題感をまとめ、サイトの方針も固まっていく。

❶ニッスイは練り製品などの商品の購買層である高齢世代の...

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企業情報を発信する「コーポレートサイト」。その重要性が増しています。長引くコロナ禍で、非対面でのコミュニケーションの質を上げるには、ステークホルダーとの重要な接点である「コーポレートサイト」を見直し、企業の価値や魅力を深くタイムリーに伝える場へと変えていく必要があります。しかし実際、サイトを刷新するとなると、一筋縄ではいきません。リニューアルの準備・段取りの基本から、実例までレポートします。企業だけでなく大学、自治体のホームページ改革の例も参考にして下さい。

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