変化に対応する!新時代の企業ブランド

リブランディングから10年 ヤンマーが語るメリットとは?

農業機械や建設機械、発電機など、日本の第一次産業を支える産業機械の製造・販売を行うヤンマーホールディングス。同社は2012年、創業100周年のタイミングでリブランディング施策を実施した。施策に関わったメンバーに、その後の手応えと今後の展開を聞いた。

DATA
創業年 1912年
連結従業員数 2万686人(2022年3月31日現在)
広報人数 1人

ブランディングするメリットとは

企業の思いが可視化されることでステークホルダーから共感が生まれる

2012年、100周年のタイミングで実施した大規模なリブランディング。コーポレートアイデンティティだけでなく、その先の商品ブランディングまで一貫した改革は、メディアでも多く取り上げられ話題を呼んだ。

同社ブランド統括の土屋陽太郎氏は背景についてこう説明する。「当社は例えば日本では農業や『ヤン坊マー坊天気予報』、ヨーロッパではヨットのエンジンメーカーとしてのイメージが強く、国や企業によって認知がアンバランスなことを課題として抱えていました。また創業時からあった『多くの人が憧れるような職業となるよう、農業のイメージアップに寄与したい』という思いから、その活動を活性化するため、100周年を機に、ブランドイメージの統一とデザインを刷新することを決定したのです」。

総合プロデューサーにクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏、商品デザインはフェラーリを外国人で初めてデザインしたことで有名な奥山清行氏と進めた。「使用者が誇れるようなデザイン」を徹底。主要商品から徐々に展開を進めていき、現在はほぼ全ての商品に統一されたヤンマーデザインを取り入れている。

思いのシェアで“自分ごと化”

リブランディングから約10年。推進の最大のポイントは「丁寧に確実に」伝えていくことであったと広報の坂田直輝氏。

「社内外向けにも様々な施策を打ってきましたが、最も丁寧かつ、長期にわたり行ったのが社内向けにスローガンの『A SUSTAINABLE FUTURE』を浸透させる活動です。この方針は、社員皆で議論して決めていったものです。しかし決めて終わりではだめ。各自がよりスローガンへの理解を深め“自分ごと”として捉えることで、さらなるブランド力の強化につながります。ブランドの体現者は従業員一人ひとりです」。

座談会など対話する場を設け、理念を体感できる新社屋を建設。また商品のデザインも、現場とコミュニケーションをとり、ブランディングへの理解が進んだことを確認しつつ、徐々に進めていった。最近ではコロナ以降希薄になってしまった社員同士のつながりや、会社に対する帰属意識に対して、“One Yanmar”として一体感を...

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コロナ禍に加え、物価高による影響も出ている昨今。環境変化に伴い事業やサービス内容の変更・改善も行われています。そうした変化の中で、スーテークホルダーからの信頼を維持するには、組織の言行一致が重要になります。事業やサービスの背景にある、企業の存在意義を様々な接点で発信できているでしょうか。企業が目指す姿を社内で日常的に意識しながら行動できているでしょうか。企業ブランドを育てていくには、企業の実態や、どのようなイメージを持たれているか客観的に把握し、社内外のコミュニケーションを円滑にする、広報の役割が欠かせません。

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