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広報担当者の事件簿

工場火災現場で広報課長が見たものとは? 小説で学ぶクライシス対応 

    日の丸製薬工場火災事故〈前編〉

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    画像提供/Shutterstock

    【あらすじ】5月1日、大型連休の谷間の「日の丸製薬」広報部には、朝から怒号が響き渡っていた。同社の静岡県富士市にある駿河工場で、火災が発生したと現場から一報が入ったのだ。課長の荒田啓司は、すぐさま部下とともに現場に駆けつける。現場にはすでに多くのマスコミが詰めかけていた。黒煙の立ち込める工場で、荒田は1分1秒を争う広報対応に直面する─。

    5月1日午前8時20分

    今朝の天気予報で、日中の気温が、25度まで上昇すると告げていた。ビルの間を吹き抜ける風がやや強いが、真っ青な空が大型連休を演出しているようだ。

    先週開催された株主総会では、業績不振の会社に対する株主の怒りが会場を支配していた。3時間半にも及ぶ総会が終了したのは午後1時半。その後、マスコミへのブリーフィング対応があり、広報課長の荒田啓司が自席に戻ったときには、午後4時を回っていた。

    週末は後処理に忙殺されたが、広報担当になって7回目の株主総会も、ようやく一段落がついた。「連休の谷間か。今週は少しはゆっくりできる」とひとりごちながら、地下鉄の地上出口から続くいつもの路を、幾分ゆっくりとした足取りで会社に向かっていた。

    「おはようございます!先週はお疲れ様でしたあ!」と、部下の河野亘が横に並んできた。

    「週明けの朝から大声を出すんじゃないよ。横に並ぶな」「そんな、悲しいこと言わないでくださいよ。なんなら、腕でも組みます?」陽気な河野が返す。

    「うるさいよ。何が悲しくて通勤までお前と一緒なんだよ」

    とは言え、広報部内に活気を与えてくれている河野のことは、図々しさを除けば部下としても後輩としても頼もしいと感じていた。

    「今週も始まるな」。荒田は河野とともに11階でエレベーターを降り、自席に向かう。

    「!」部屋の一角が、異様な熱気を帯びている。エレベーターのドアが開いたとき、胸のあたりにザワザワしたものを感じていた。

    窓側の席から「怪我人は出ているのか!」「状況を早く掴んでくれ!」「出火原因は!」の声が …

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