「ロイヤリティ・マーケティングへの注目~最新の成果・研究~」
ロイヤリティの高い顧客はどのような企業活動によって育成されるのか、それによってどのような効果があるのか、といった「ロイヤリティ・マーケティング」の効果を検証する方法を考える。
2011年11月14日に開催されました第一回ロイヤリティ・マーケティング研究会の概要について、ご報告させていただきます。
発表者 | 南 知惠子 氏(神戸大学大学院経営学研究科教授) |
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内容 | ロイヤリティ・マーケティングに関して、顧客維持戦略、顧客関係管理、顧客ロイヤリティの形成要因などの研究領域においてアプローチがされてきた。これらの研究成果と論点、近年の研究動向について解説を行いました。 |
発表者 | 東方 久光 氏(大広ブランドデザインセンター 代表) |
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内容 | 自社ブランドの顧客に加えて、競合ブランドの顧客のロイヤリティ状況を把握、比較することができ、ロイヤリティ 向上の戦略方針を検討できる、プランニングシステムについてご紹介しました。 |
神戸大学大学院経営学研究科教授 南 知惠子氏の総括から
本日のお話を聞いていて、皆さんのご関心が、主としてロイヤリティの計測や、ロイヤリティの形成要因にあることがわかりました。 まずはロイヤリティ・マーケティングの何が大事なのかという点につき、要はマーケティングにおけるセグメンテーションの仕方が変わってくる ということが特徴としてあげられます。これまでは年代、性別などの層で分けがちでしたが、「行動ロイヤリティ」と「真のロイヤリティ」 と呼ばれる人の軸で分けることができます。そうなると顧客の層が、いくつにも分類できますよね。セグメンテーションの仕方が、今までとは 全く違うということです。
次に考えるべきなのが、どの層をターゲットにするのかということです。「行動ロイヤリティ」つまり「見せかけのロイヤリティ」よりも「真のロイヤリティ」を増やしていこうとする際に、それは努力すべきセグメントなのか、そうでないのかをどう見分けるのかといった議論も必要です。東方さんからのお話にもあったように、ロイヤル顧客層とそうでない人の反応する属性が顕著にされています。例えば顧客へのアピールポイントをデザインとして考えた場合、今まで技術に信頼感を抱いてくれていた顧客が、デザインに比重を置くことで離れてしまう可能性もあります。 そういう識別ポイントも、これから議論していく必要があります。
また別の課題として、「コミュニケーション」も挙げられます。訴求ポイントが決まり、どうアピールすれば消費者の心を掴めるのか。さらにコミュニケーション戦略だけではなく、そこに商品自体の戦略も考えていくと、開発、生産自体を再検討する必要が出てきて、よりターゲッティングに対してシビアになり、非常に意思決定自体が難しくなります。ですので、単純に訴求ポイントを決めてアピールの仕方を変えるだけがロイヤリティ・マーケティングではないということです。
最後のポイントとして「価値」という問題を出させていただきました。価値訴求のセグメンテーションということができるのか、といったことも 今後議論を重ねてゆけば、より今日的な分析ができるかと思います。
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主催:ロイヤリティ・マーケティング研究会事務局
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