「ソーシャルメディアを使ったリレーションシップの作り方」
日増しに存在感が高まるソーシャルメディアを活用して顧客とのリレーションを深め、ロイヤリティを育成していく新しい戦略展開の検証。
2012年2月10日に開催されました第三回ロイヤリティ・マーケティング研究会の概要について、ご報告させていただきます。
発表者 | エディオン マーケティング部CRM企画担当長 山田 徹志 様 南 知惠子氏(神戸大学大学院経営学研究科教授) |
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内容 | 店舗ネットワークや経営理念などのエディオングループの紹介から、自社カードを軸とした顧客識別分類、識別基準の考え方、新規来店から優良顧客への顧客育成の流れなどのCRM戦略。さらに顧客分析手法と効果検証、商圏分析手法について紹介頂きました。 |
発表者 | ネスレ日本 コミュニケーションズ&コーポレートアフェアーズ本部 事業開発・デジタルマーケティング統括部 デジタルメディア開発ユニット ユニットマネージャー 揖斐 理佳子 氏 |
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内容 | ネスレ日本にとってのロイヤリティ・プログラムに対する考え方。成功事例としての「ネスカフェ プレジデント」の分析を紹介。自走するコンテンツを標榜し、最近スタートした「ネスレゆずりば」の目的から現状、今後の展開までをご紹介頂きました。 |
発表者 | 大広 デジタルソリューションセンター代表 忠見 正仁 氏 |
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内容 | 30年を超えた大塚製薬のポカリスエットの更なる価値構築に向け、顧客接点としての公式Facebookページを早期に構築し、CRMプラットホームとしてマーケティング活動全体に活用。次世代のロイヤルカスタマー育成の各種の施策事例と成果、ブランド力を活かした生活者とのエンゲージメントを深める仕組みをご紹介頂きました。 |
神戸大学大学院経営学研究科教授 南 知惠子氏の総括から
最終回だけに議論が積み上がってきたという印象を持ちました。最初のエディオンの事例ではトランザクションデータをどう使うか、行動データを分析した後にどういうマーケティングをするかという点に対し、その業態に特化した最適解を目指すべきだという示唆を頂きました。。
ネスレ日本と大塚製薬(ポカリスエット)の事例に対しては、ロイヤリティやCRMというのは成熟市場において、今では小売業と比較して、消費者との接点が少ない消費財メーカーのいわば「逆襲」であると改めて感じました。 これまでメーカーは「消費者は個々に点在する」という考え方で、それら消費者をセグメント化することが行われてきましが、SNSにおいては「消費者はネットワークで存在する」という認識に変わってきていることが分かりました。 その拡散性を考えると、今までの強弱の連結やゲートキーパー論など良く知られたネットワーキング理論で説明可能なのかどうか、新しい理論構築の必要性を感じざるを得ません。今後、試行錯誤的に行われている 様々なプロモーションの成功事例を見つけていくことは非常に興味深いのではないでしょうか。
メーカーからの顧客接点の作り方として、かつては応募キャンペーン等の経済的なインセンティブを付けたアプローチでしたが、ソーシャルプラットフォームでは社会的交換(社会的な見返り)がインセンティブになってきます。つまりSNS上で何か発言したりすることで誰か他の人の反応を得るということがインセンティブになってきています。 そこをうまく利用し、SNSを基盤にするという考え方は示唆に富んでいると感じました。
最後にこの研究会の課題ですが、マーケティングROIの観点でいうとSNSで話題性があったとしても、企業がしかけたアプローチに対する「本当のコストベネフィットとは何か」という点がまだまだ流動的です。 成熟市場においては、本当のロイヤリティとは何なのか、そこにどうアプローチするか、しかけや仕組みづくりにどのくらいコストをかけるべきなのか、という議論自体もSNS利用においてそろそろ必要な段階にきていると感じました。
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主催:ロイヤリティ・マーケティング研究会事務局
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