「ロイヤリティ・マーケティングへの注目~最新の研究について~」
2012年9月27日に開催されました第四回ロイヤリティ・マーケティング研究会の概要について、ご報告させていただきます。
発表者 | 小野 譲司 氏 (青山学院大学教授) |
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内容 | 「変わるロイヤリティ・マーケティング」と題し、 |
発表者 | 鈴木 健 氏 (ニューバランスジャパン マーケティング部長) |
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内容 | ニューバランスの取り組みをもとに、「購買前」→「購買」→「購買後・使用」の購買プロセスにおける顧客ロイヤリティの捉え方とポイントを紹介いただきました。 |
青山学院大学 経営学部 マーケティング学科教授 小野 譲司 氏の総括から
この研究会では、メンバーの皆さんの会社や業種での事例もさることながら、今後、さまざまな会社の事例が出てくると思いますが、本日はニューバランスジャパンの鈴木様からのプレゼンテーションの中で出てきた「ブランド」というのがロイヤリティ・マーケティングを読み解く、一つの重要なキーワードであったと思います。
ニューバランスは、特にジョギングなどの「体験」と結びつくブランドだけに、その体験をどう演出できるか、その記憶をどう頭に刷り込むことができるか、という側面でロイヤリティについて考えられたのが本日のポイントだと感じています。
CRMやロイヤリティ・マーケティングの話は、いささかプロモーションの手法や短期即効的な戦術論になり、ブランド・マネジメントとは切り離されて議論されがちですが、ブランドを通した体験が、お客様のロイヤリティの基盤にあることを、鈴木様には強調していただいたと思います。
また、鈴木様のお話では、「あこがれ」というキーワードが出てきました。感情心理学では感情予測という概念がありますが、これはこれから起こる体験に先だって、わたしたちが抱くポジティブないしはネガティブな感情を予想することを表す言葉です。
今日の話に関連づけると、このワクワク感がどのくらい強いか、そもそもワクワクしてもらえているか、ということがブランドや顧客の体験、ロイヤリティの形成や強化にとって大きな意味を持つのではないか、というのが一つの問題意識です。
「旅行で一番楽しいのはプランを立てているとき」などと言いますが、旅行のように情緒的な価値を売る、また人々の体験と密接に結びついている業界はとくに、このお客様のワクワク感を与えるところからロイヤリティ・マーケティングが始まっているのかもしれません。
最後に「働いている方々のロイヤリティ」という話が出てきましたが、単にお客さん向けのプロモーションだけでなく、そこで働く従業員との一体感、従業員のロイヤリティというのが顧客ロイヤリティと結びつくことで、初めて事業やブランドの持続性が保たれるのではないかという問題提起をしていただきました。
実際、この問題はこれまでも研究が行われており、それほど単純な話ではありませんが、ある程度の妥当性があることが知られています。
今回、ニューバランスジャパンの鈴木様からは、直接、お客様と接点を持ちづらい、消費財メーカーのお立場から、主としてブランド体験を中心にお話いただきましたが、それと同時に、そもそも「顧客ロイヤリティとは何か」という、実はこの研究会をさらに進めていくうえで良いきっかけを頂いたと思います。
CRMなどの戦術的な話も重要ですが、それ以外の部分を含めたロイヤリティの考え方というものを、メンバーの中である程度共有できたと思います。
この認識を共有した中で、今後のご報告や議論がますます楽しみです。
マーケティング本部 顧客戦略部 部長
岡嶋 正幸 様
マーケティング本部 顧客戦略部 マネージャー
山田 徹志 様
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主催:ロイヤリティ・マーケティング研究会事務局
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