「最先端のCRM ~継続させる顧客ロイヤリティ~」
2012年10月25日に開催されました第五回ロイヤリティ・マーケティング研究会 の概要について、ご報告させていただきます。
発表者 | 笹間 靖彦 氏 (株式会社資生堂 国内化粧品事業部デジタルビジネス開発部長) |
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内容 |
についてご紹介いただきました。 |
発表者 | 稲田 剛 氏(全日本空輸株式会社 プロモーション室 ロイヤリティマーケティング部 部長) 山本 昇 氏(プロモーション室 ロイヤリティマーケティング部 プログラムマネジメントチーム リーダー) |
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内容 | ANAと世界の航空会社のマイレージプログラムを中心とした顧客化とそれに伴う附帯事業モデルのトレンドと各社の抱える課題についてご紹介いただきました。 |
発表者 | 覺正 純司 氏(株式会社クレディセゾン 取締役 営業企画部長兼ネット事業部長) |
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内容 | クレディセゾンの経営理念は「サービス先端企業」つまり、「コンシェルジュ」である。 |
青山学院大学 経営学部 マーケティング学科教授 小野 譲司 氏の総括から
ロイヤリティ・マーケティングやCRMについて議論するうえでの中心的なテーマのいくつかが、今回のご講演で取り上げられました。資生堂・笹間さんのお話にあった「マルチチャネル」、 ANA・稲田さんと山本さんの「ポイントプログラム」、クレディセゾン・覺正さんの「アフィリエイト」と、ロイヤリティ・マーケティングを語る上で常に取り上げられる重要なテーマが出てきました。
最初の資生堂さんのお話では、複数の流通経路がある中で顧客との直接の接点をもってマーケティング活動をいかに展開するか、という間接流通で商品を販売する消費財メーカーの課題を真正面から取り上げて頂きました。これは、顧客のロイヤリティをめぐって必ず出てくる話題です。一般に、マルチチャネル化、つまり、実在店舗とインターネットサイトで買い物をするお客様はロイヤル顧客になりやすいと言われます。
現在、マルチチャネルの研究は盛んに行われている分野で、たとえば、第一のチャネルから次のチャネルに移るのにどのくらい期間があるのか、どのようなタイミングで次のチャネルを導入すればよいか、などということも議論されています。
ANAさんのポイントプログラム、これはマイレージないしはロイヤリティ・プログラムとも言いますが、これもロイヤリティ・マーケティングの代表的な戦術であることは言うまでもありません。ロイヤリティ・プログラムを顧客が継続的に利用するメカニズムは、主に3つの視点で説明されます。一つは「関係性」によるもの。顧客がその企業やブランドを気に入っているので、継続的に利用し、ポイントやマイレージを貯め続ける、というものです。
ポイントを蓄えることで得られる特典やサービスもこれに含められると思います。
2つめは「習慣化」。飛行機で移動する、本を買う、夕飯の食材を買う、といった消費目的を実現する手段として、特別な情報収集や比較検討を行うことなく、半ば何も考えずに同じブランドを使い続ける習慣の中に、ロイヤリティ・プログラムが位置づけられている状態です。
3つめは「ステイタス」。これは、マイレージやポイントを貯めることで、ブロンズ、シルバー、ゴールドなどのステイタスにランクアップすることに、顧客がある種の目的意識や達成感をもつことです。特典もさることながら、そこへ到達することじたいが目的化するというものです。
これだけでなく、クレディセゾンさんのアフィリエイトの取り組みをはじめ、ソーシャルメディア、あるいは他業界とのアライアンスといった、最新の取り組み事例も含めて、各社のロイヤリティ・マーケティングがどのように展開しているか、まとめきれないほどの興味深い話題で満載でした。
鳥瞰してみると、今回のお話から、ロイヤリティ・マーケティングのあり方を「ビジネスモデル」や「エンゲージメント」という観点で捉え直すことの重要性が認識できたと
思います。
簡単にまとめますと次の通りです。たとえば、フェイスブックのANAのページでいいね!ボタンを押したユーザーは、飛行機に乗らない限り「無償の顧客」です。中にはフリークエントフライヤーもいるかもしれませんが、そこまで追跡するのは至難の業かもしれません。しかし、こうした無償の顧客は昨今、私たち自身も含めて至る所にいるし、そうした無償客ばかりを集めたプラットフォームを確立して、広告モデルやフリーミアムにみられるようなビジネスモデルで成り立つビジネスがあることは周知の通りです。
さて、自社の商品やサービスに対価を支払ってくれるお客様の生涯価値を計算して、マーケティングの打ち手を考えるやり方だけでは通用しません。そこで、無償であってもたくさん集客できること自体、いいね!ボタンやフォロー数、ブログ投稿やツイート数といった、いわゆるエンゲージメント行動がもつ価値を生涯価値とは違うロジックで算出できないか、という問題意識が生まれてきます。
こうした問題意識の背景には、生涯価値が高い顧客だからといって、紹介や推奨によってもたらす価値が高いとは限らない、などの知見もあり、顧客のロイヤリティに対して、私たちは、もう少し複眼的に捉え、場合によってはKPIも分ける必要すらあるのではないか、というのが新たなステージに向けての論点の一つではないかと思います。
マーケティング本部 顧客戦略部 部長
岡嶋 正幸 様
マーケティング本部 顧客戦略部 マネージャー
山田 徹志 様
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主催:ロイヤリティ・マーケティング研究会事務局
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