審査講評


志伯健太郎さん
稗田倫広さん
新井将能さん
今回、3回目を迎えた「レンタカー利用の未来アイデアコンテスト」では、「旅行」をテーマとしたレンタカーの新しい活用シーンを提案するCM・映像プランのアイデアを募集しました。
新井 これまで第1回ではレンタカーを利用したいと思わせる企画・広告アイデアを、第2回では、「異業種とのコラボレーション」をテーマに新しいレンタカー商品の企画を募集しました。今回、CM・映像プランに限定したのは、お客さまに、利用シーンを見せることでレンタカーの良さを視覚的に訴求したいと考えたからです。グランプリの作品は映像化し、店頭で放映する予定です。
   
最終選考に残った27作品を審査しての感想は。
稗田 「レンタカー」でなければならない理由・コンセプトがはっきりしているものが選ばれている、という印象でしたね。
志伯 クルマやや栃木の観光の魅力を伝えることに終始するのでなく、レンタカーが自家用車とどう違うのかが明確になっていることがポイントだったと思います。
新井 私はこういったCMの絵コンテを今回の審査で初めて見ましたが、お二方がおっしゃるように、レンタカーならではという魅力が明確になっており、かつオリジナリティーがある作品が最終選考に残りました。
  グランプリには、結婚披露宴を舞台に、そこで流れる新郎新婦の思い出のスライドショーの写真が、同じ場所、同じ二人でありながら、車だけが毎回異なるという、モノリス コピーライター・重泉祐也さんの作品が選ばれました。
稗田 レンタカーの良さの表現と、映像的技巧がかみ合わさった作品です。さまざまな車種を選んで乗車できるというレンタカーの特長を、さり気なくかつ分かりやすく見せているところが良かったですね。
しかも、最初から最後までずっとレンタカーと栃木の名所が出ずっぱりという、そこもいいなと思いました。こういう賞の時って、企画を真ん中にしすぎて商品が端にいっている場合が結構ありますから。
志伯 商品や栃木を見せつつも、レンタカーと次元が異なる結婚式場を掛け合わせているからこそコントラストが強まり、CM自体の印象も心に残りやすいものになりました。
新井 実際のCMとして映像化したときのイメージがしやすかったのも高評価だった点です。
  審査員特別賞に選ばれた2作品についても教えてください。
志伯 本当に、あるのではないかと思わせるギリギリのリアリティーがおもしろいです。以前乗車した人の追体験をCMの主人公がすることで、コンセプトを直接的な言葉で明示するのではなく、状況によって伝えています。ストーリーテリングという手法ですが、効果的に使われていますね。 ただ欲を言えば、行った先で何かあったりすると、よりおもしろい企画になったのではないでしょうか。
稗田 僕も履歴を辿るという視点がおもしろいと思いました。主人公とともに旅する中で、レンタカーの良さと栃木の魅力を飽きることなく体験できます。ただ、ラストの「レンタカーにはたくさんの想い出が詰まっている」という部分、そこから1歩先の「だからこう!」みたいなコピーがあるとより良かったです。
新井 レンタカーを利用していただく度にカーナビの履歴は消去しているので、実現は難しい話です。ただ、ストーリーを変え、「履歴をきちんと消さないと大変なことになるよ」といった内容にすると、社員向けに注意を喚起する映像にもできると感じました。
稗田 マウス型のクルマが実際に公道を走ったらどうなるだろう、などとつい考えてしまいます。見たことのないCMになりそうな予感がしますね。ただCMのコンセプトがやや曖昧なので、コピーとして明確にひと言で表されているとより良くなったと思います。
志伯 切り口はほかの作品と異なっていて、マウスが走り出すというところには、私も可能性を感じました。インターネットからドライブにつなげるというのは、切り口としては良いですが、レンタカーである必要性が欠けてしまいやすくなるので、この点をより意識できれば良かったのではないかと思います。

  レンタカー×栃木のCM・映像作品の可能性についてどう思いますか。
稗田 栃木という地域が明確になっているからこそ、レンタカーを使って、栃木を元気にするようなCMや映像を考えてほしいなと思いました。実際のCM制作と違ってより自由なわけですから、どうやったらこのCMで栃木を盛り上げられるだろう、とかもっと違う次元で発想したほうが絶対面白くなると思います。
志伯 レンタカーならではのシズル感、例えばキズのチェックなど店頭で実際に行われているシーンをCMにしてみることもできますね。
新井 今回コンテストを実施してみて、「栃木」「レンタカー」それぞれの固定された イメージが強いことを改めて感じました。しかし、そのため、ちょっとした発見でもこうした固まったイメージを覆す力があると思いますし、新しいブランドを創ることができるのではと感じました。応募総数448作品という多くのアイデアを寄せてくださった皆さまに感謝いたします。